希望価格を考える前に、判断材料を分ける
更新日: 運営:株式会社M&A Do
福島県で会社売却や事業承継を検討する経営者に向けた、相談前の準備チェックリストです。資料をすべてそろえることより、「分かっていること」「未確認のこと」「譲れない条件」を分けるところから始めましょう。次の項目を手元のメモに書き、確認する担当者と時期を添えてください。
価格の話では、売り手の希望額、資料から算定した評価額、最終的に合意する譲渡額を区別します。県内の同業者の話や一律の利益倍率だけで決めず、次の三つを別々に整理します。
- 続く利益:直近の決算と月次の動き、主要顧客との取引、代表者が退いた後も続く売上。臨時収入や一時的な費用は内容を記します。
- 資産と負債:不動産・設備・在庫の利用状況、借入・リース、回収に時間がかかる売掛金。帳簿だけでは分からない事項を分けます。
- 引継ぎ後の負担:設備更新、採用や教育、未完了案件、保証・修繕対応など。誰がどこまで負担するかは協議事項として残します。
中小企業庁の譲渡額の算定方法も、案件に応じた評価方法の選択と、評価額がそのまま譲渡額になるとは限らないことを説明しています。「いくらで売れるか」と同時に、何を含む金額なのかを確認することが大切です。
価格以外の希望を、三段階で書く
以下を「必ず確認したい」「できれば実現したい」「まだ決めていない」に分けます。希望は買い手に約束された条件ではありません。実現に必要な相手の同意や費用も確認します。
- 雇用と仕事:残してほしい業務、従業員の勤務地、主要な担当者の役割。本人の希望を確認済みかどうかも分けます。
- 取引と場所:継続したい顧客・仕入先、社名・屋号、工場や店舗。会社所有か個人所有か、賃貸かを書きます。
- 時期と関与:希望する時期と理由、繁忙期、代表者が引継ぎに使える期間・頻度。退任と現場支援の終了を分けて考えます。
- 借入と保証:借入先、残高、担保、代表者保証の有無。売却だけで解除されると考えず、金融機関への確認事項を整理します。
相談前に確認する八つの資料
各行に「ある・探している・作成が必要」と記し、保管場所、確認担当者、更新日を添えます。推測の数字で埋めず、未確認のまま相談できる形にしてください。
表は横にスクロールできます。
| 資料 | そろえるもの | メモする問い |
|---|---|---|
| 決算・月次 | 複数期の決算書、直近の試算表 | 利益が大きく変わった理由は何か。一時的な要因はあるか。 |
| 顧客・受注 | 顧客別売上、受注残、主要契約 | 取引継続を誰が支えるか。更新・解約・変更時の条件は何か。 |
| 人員・担当 | 役割表、勤務状況、雇用条件 | 一人に集中する仕事は何か。副担当と引継ぎ方法はあるか。 |
| 設備・不動産 | 資産台帳、点検記録、賃貸借契約 | 所有者は誰か。更新や修繕、貸主への確認は必要か。 |
| 在庫・仕掛品 | 棚卸表、滞留品、未完成案件の一覧 | 使える在庫か。完成・納入までに追加費用がかかるか。 |
| 借入・保証 | 返済予定、担保・保証・リース資料 | 契約先と確認者は誰か。個人所有資産や保証は関係するか。 |
| 許認可・権利 | 許可証、届出、商標・図面等の契約 | 名義・対象施設・有効期間は何か。利用や承継の確認先はどこか。 |
| 未完了の対応 | 修繕、苦情、保証、紛争等の一覧 | 対応期限・担当者・費用見込みはどうなっているか。 |
初回から顧客名や従業員の個人情報を一括して渡す必要はありません。相談先、利用目的、秘密保持、開示範囲を確認し、必要な情報を段階的に準備します。
中通り・会津・浜通りで、自社の条件を確かめる
所在地だけで事業の特徴は決まりません。県内の三地域を意識しながらも、実際の商圏、通勤、仕入れ、配送、保守の範囲を地図や取引一覧に書き込んでください。
中通り:所在地と取引の範囲を分ける
福島・郡山・白河などの所在地に加え、売上が県内・県外のどちらから生まれるかを整理します。製造・加工業なら顧客別採算と設備、人に依存する工程を確認します。県の工業統計は地域背景として使い、自社の価格とは分けて考えます。
会津:繁閑差がある事業は月ごとに確認する
観光・宿泊・飲食などでは、月次売上、予約経路、繁忙期の人員、設備更新時期を並べます。県の観光統計には圏域・時期別の資料がありますが、延べ入込客数を自社の宿泊客数や利益に置き換えないようにします。
浜通り:稼働拠点と継続する契約を確認する
いわき・相双などでも、登記上の所在地と実際の店舗・工場・倉庫を分け、取引先や従業員への引継ぎ事項を整理します。食品製造・飲食の事業譲渡は、県の地位承継案内を参考に、営業所を管轄する保健所へ必要手続きを事前に確認してください。
ここで挙げた確認事項は、各地域だけに限られるものではありません。複数拠点がある場合は、拠点ごとに資料と確認先を分けます。
公表事例から考える、雇用と技術の引継ぎ
日本政策金融公庫は、いわき市の小野製作所を大玉村の蒲田金属工業が2022年12月に承継した事例を紹介しています。切削加工と鋳造の技術を補完することに加え、雇用維持と現場技能の引継ぎが論点でした。
当社の支援実績ではない、外部機関の公表事例です。出典:日本政策金融公庫「アルミの鋳造から加工までを一気通貫で! 相乗効果を生み出すM&A」
売却準備のよくある質問
資料が不足していても相談できますか?
不足している資料と分かっている範囲を分け、事業内容、相談したい理由、希望時期をまとめてください。資料の不足を推測で補わず、次に何を確認するかを相談することから始められます。
買い手が決まる前に従業員や取引先へ知らせるべきですか?
一律に決めず、秘密保持、契約上の確認事項、説明が必要になる時点を整理します。誰に、何を、いつ伝えるかを関係者と検討し、引継ぎ直前まで必要な確認が残らないようにします。
親族への承継と会社売却で迷っている場合は?
後継者候補の意思、引継ぎに使える時間、資金、経営上の役割を分けて比べます。公的な福島県事業承継・引継ぎ支援センターも、親族・従業員への承継やM&Aの相談を案内しています。当サイトとは別の相談窓口です。
希望条件と未確認事項を、相談時に共有する
「必ず確認したい条件」「資料が不足している項目」「希望時期」の三点を短くまとめてください。売却の判断がまだ固まっていなくても、準備の順番を整理できます。
売り手の当センター手数料は、成功報酬を含め0円です。
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